風に恋して
「いや……ピオヴェーレ……」

リアが呪文を唱えると、シャワーから勢い良く水が噴き出した。バスタブに溜まっていた水も2人に向かってしぶきを上げる。

「リア!やめろ!」

レオはリアを抱きかかえてバスルームを出ようとするが、リアは何度も何度も雨の呪文を唱えていて、その度に水の勢いが増していき、水のベールがバスルームの壁を覆ってしまった。

レオがリアの身体を一度床に降ろし、壁に押し付けてその唇を塞ぐ。すると、リアが呪文を唱えられなくなって水が少しずつ引いていった。

「んんっ」

リアは抵抗しなかったけれど、レオはしっかりとリアの後頭部を抱え込み、深く舌を差し込んだ。

冷たかった唇が熱を帯び、リアがようやく抵抗を見せ始めた頃、レオは唇を離した。濡れた唇は、
雨の呪文の水しぶきのせいなのか、レオとのキスのせいなのか……

頬を伝う雫も、涙との区別がつかないくらい。

レオは親指でリアの唇をなぞり、そこから漏れるのが吐息だけになったのを確認してもう1度リアを抱きかかえてバスルームを出た。
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