風に恋して
イヴァンが出て行くと、リアはホッと息をついてベッドに横になった。レオもベッドの端に座ってリアの頭を撫でる。

「リア……本当に大丈夫なのか?」

レオに問われて、リアは頷いた。

身体が重くて、熱が上がってしまったせいで少し頭がボーっとするが、この熱はすぐに下がる気がした。

「それならいいが……眠れるか?」

その問いに、リアは視線を上げてレオを見上げた。

“眠れるか?”

答えはイエスだ。でも1人ではきっと眠れない。レオの鼓動が聴きたい。そうしたら、眠れる気がする。

「人を待たせているんだ。すぐに戻れると思うが……」
「待って」

咄嗟に、そう言っていた。レオが驚いたようにリアを見つめている。

リアはベッドに手をついて起き上がり、レオにギュッと抱きついた。

「リ、ア……?」
「少しだけ……もう少しだけ、ここにいてください」

レオの胸に頬を擦り付けるようにして、レオの鼓動が一番大きく聴こえる場所に耳を当てる。

トクン、トクン、と。

レオの鼓動は規則正しくリアの耳に届き、子守唄のようにリアを優しく包む。
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