風に恋して

風が運ぶ恋

翌日、リアは1日ベッドで過ごした。まだ少し高い体温。

(来ない、のかな……)

ふと、窓に視線をやってそんなことを思う。もう夕食の時間になる。いつもならお昼、遅くとも夕食前には1度顔を出してくれるのに。

今日はレオに会っていない。昨日も来客があったようだったし、忙しいのかもしれない。セストにいろいろと任せてはいるようだけれど、王としてこなさなければならない執務は多いはずだ。

それなのに、欠かさずリアに会いに来てくれる。

おそらく今日も、朝は顔を出してくれたのだと思う。遅くまで眠っていたリアは、彼の笑顔を見ることができなかったけれど。

思わずため息がこぼれて、ハッと口元に手を当てる。

(私、何を……?)

レオに会えないことを残念に思っている自分がいる……?

リアは首を横に振った。

違う。昨夜、あんな風に甘えてしまったから気になるだけだ。あれだって、体調が悪くて心細くなってしまっただけで、そこにレオがいた……だけ、で。

それから、今度は必死になって否定していることに気づく。それを誤魔化すように、リアは枕元に置いてあった本を手にとって開いた。

内容なんて、頭に入ってこない。

(もう、私は――)
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