風に恋して
第四章:旋風と守りの風

侵入者

――それから数日後。

セストがマーレ王国から戻り、リアの部屋を訪れると彼女は眠っていた。セストの留守中に熱を出してから、レオが訪れても眠っていることが多いと聞いている。

熱はすぐに下がったとレオもイヴァンも言っていたのだが……

「セスト様」
「ああ、カタリナ。リア様はずっと眠っているの?」

セストの問いに、カタリナは困ったように頷く。

「はい。先ほどまで読書をしていらしたと思ったら、また眠ってしまったようで……」

カタリナの言葉通り、リアの枕元には開いたままの本があった。

「そう……」

セストはそっとリアのベッドに近づき、彼女の額に手を当てた。

(微熱……?)

ほんの少しではあるが、体温が高いように感じられる。

「ん……」

そのとき、リアが薄っすらと目を開けた。

「すみません、起こしてしまいましたね」
「あ……ごめんなさい」

リアはパッと起き上がると、セストに向き直る。

「レオ様から、リア様のところへ来るように言われたのですが……」
「はい。頼みたいことがあるんです」

そう、セストを見上げて言うリアの瞳はとても真剣だった。
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