風に恋して
「リ、ア様?」
イヴァンは思いの外、強く握られた自分の手首を見つめ、それからリアへと視線を移した。苦しそうに眉を顰め、荒い息を吐き出しながらリアは縋るような瞳でイヴァンを見る。
「チャクラ、を……っ、う、ぐっ」
チャクラ――リアは気が欲しいのだとすぐに理解した。先ほど階段下で微かに聞いた呪文は抵抗の呪文だったと思う。リアは何かに抗おうとしている。
状況は把握し切れていないが、リアが今、気をうまく練れない状態なのは明らかで、イヴァンのそれが欲しいと言っているのだ。
イヴァンは頷いて、リアの手を握った。
「承知しました」
目を閉じて集中する。
チャクラ変換は繊細なトラッタメントの一種。特にイヴァンとリアのように属性の違うチャクラを持つ人間間のそれは気をつけなければならない。異なる性質のそれを体内に大量に入れることは害にしかならないのだ。
幸い風属性と水属性の相性は良く、波長が合わせ易い。
イヴァンも完璧な変換ができるわけではないが、他属性に有害な影響が出ない程度の技術は持っている。
イヴァンはゆっくりとリアのチャクラを感じながら彼女の下腹部――水属性のセントロの位置する場所――に手を添え、丁寧にチャクラを送り込んだ。リアの波長に合うように自分のチャクラを変換しながら。そして――
「レシストレ」
リアがそう唱えた瞬間、イヴァンは浮遊感のようなものを感じた。ゾワッと身体の内部、内臓全部がざわめくような、そんな感覚が全身を駆け巡り、そして力が抜けた。
イヴァンは思いの外、強く握られた自分の手首を見つめ、それからリアへと視線を移した。苦しそうに眉を顰め、荒い息を吐き出しながらリアは縋るような瞳でイヴァンを見る。
「チャクラ、を……っ、う、ぐっ」
チャクラ――リアは気が欲しいのだとすぐに理解した。先ほど階段下で微かに聞いた呪文は抵抗の呪文だったと思う。リアは何かに抗おうとしている。
状況は把握し切れていないが、リアが今、気をうまく練れない状態なのは明らかで、イヴァンのそれが欲しいと言っているのだ。
イヴァンは頷いて、リアの手を握った。
「承知しました」
目を閉じて集中する。
チャクラ変換は繊細なトラッタメントの一種。特にイヴァンとリアのように属性の違うチャクラを持つ人間間のそれは気をつけなければならない。異なる性質のそれを体内に大量に入れることは害にしかならないのだ。
幸い風属性と水属性の相性は良く、波長が合わせ易い。
イヴァンも完璧な変換ができるわけではないが、他属性に有害な影響が出ない程度の技術は持っている。
イヴァンはゆっくりとリアのチャクラを感じながら彼女の下腹部――水属性のセントロの位置する場所――に手を添え、丁寧にチャクラを送り込んだ。リアの波長に合うように自分のチャクラを変換しながら。そして――
「レシストレ」
リアがそう唱えた瞬間、イヴァンは浮遊感のようなものを感じた。ゾワッと身体の内部、内臓全部がざわめくような、そんな感覚が全身を駆け巡り、そして力が抜けた。