風に恋して
城の警備はかなり厳しいし、セストの調べでも特に怪しい者はいなかった。レオもそれは確認している。呪文を使っていないときでも、集中すればその人間の気は感じ取れる。侵入者に気づかないことなどない……はずなのだ。

レオが考え込んでしまったとき、ふと肩に重みを感じて隣を見るとリアがレオに寄りかかって眠っていた。

その頬に触れて、あどけない寝顔にフッと笑みが零れる。

「お疲れなのでしょう。私がリア様に気づく前にも、すでに何度か呪文を使っていたようですし」
「あぁ……」

強い呪文を使って疲れたのもあるだろうし、また熱もあるようだ。

レオはそっとリアの身体を抱き上げてベッドに運んだ。リアは少し身じろいだが、起きることはなかった。そのままシーツを掛けて額にキスを落とす。

「おやすみ……イヴァン、行くぞ」
「はい」

イヴァンもソファから立ち上がり、レオに続いて部屋を出た。
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