風に恋して
「あの、レオ様……」

リアの部屋を出たところで、イヴァンがレオに声をかけてくる。

「どうした?」
「リア様は……マーレ王国のご出身ですよね?」

イヴァンはそう言って、また自分の右手を見つめている。先ほどからずっと気にしていたようだったからレオも気になっていた。

「そうだが……?」
「先ほどリア様が呪文に私の気を使われて……その、私の中から気を受け取っていったときに風属性の力を感じたのです。リア様は水属性のはずですから、気になって……」

あのとき、イヴァンの身体に走った浮遊感のような感覚――風属性の呪術者から呪文を入れられるときの感覚と似ていた。たが、その後リアが気を送ってくれたときには、水属性特有の身体に水分が染み渡るような感覚で気が回っていった。

例えば両親のどちらかが風属性で、どちらかが水属性であるならば、その子供が2つの属性を受け継ぐことはある。しかし、リアの両親はどちらもマーレ王国出身で彼女は純粋な水属性のはずだ。

「リアが、風の力を?」

レオも怪訝な顔をしてイヴァンの話を聞いていた。

「はい……でも、私もかなりの量の気を送ってしまって意識を保つのが大変でしたし、私自身も呪文を使いましたので、思い過ごしかもしれません。変なことを言いました」

自分が呪文を使ったときのそれを感じただけかもしれない。イヴァンはそう思い直してレオに頭を下げた。
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