風に恋して
「リアさ……」

そのとき、リアの後ろで扉が開いてカタリナの声がした。

レオがゆっくりと唇を離し、カタリナを振り返る。少しの間、彼女は身体を固くして立ち尽くしていたが、ハッと気づいたように頭を下げた。

「あ、も、申し訳ございません!あの、でも……そろそろお支度を始めませんと」
「あぁ、わかっている。後は任せる。俺は控え室に居るから」

レオが身体を離してリアの唇を拭ってくれる。リアは熱くなった頬を隠すように俯いた。それを見てレオがフッと笑い、こめかみにキスを落としてくる。

リアはますます頬が火照るのを感じた。

カタリナが、いるのに……

「また、後で」
「は、はい……」

だが、レオはそんなことを気にする様子もなくリアの頭を撫でた。リアがなんとか頷くと、またクスッと笑って部屋を出て行ってしまうレオ。

残されたリアはどうしたらいいのかわからず、とにかく頬の熱を逃がそうと両手で包んだ。自分の手は、少しひんやりとしている。
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