風に恋して
バンッ!!!

と……大きな音と共に広間の扉や窓が一斉に開いた。突風が大広間に吹き荒れ、貴族たちの悲鳴が広間に響く。

(なん、だ?)

そのとき、リアがレオの胸にドサリと倒れこんできた。どうやら意識を失ってしまったようだ。レオはその身体を抱き締める。

しばらくして風は止み、シンと静まり返る大広間。

キィ、と窓が音を立てて揺れて、大広間の床にはテーブルに綺麗に並べられていた料理や食器などが散らかってしまっている。

「何だ?」
「どうしてこんな季節に……?」

会場が騒がしくなり始める。

確かにヴィエントは一年を通して風の強い日が多いが、今はあんな嵐のような突風が吹く季節ではない。第一、今日はとても穏やかな天気だったはず。

それに、たとえ突風が吹いたとしても城の窓が全部開くなどありえないだろう。まして、廊下と広間をつなぐかなり重い扉までも開いたのだ。

とにかく、考えるのは後だ。

レオは皆の気が削がれているうちに広間を出たほうがいいと判断し、リアを抱き上げて足早に廊下を進んでいった。交流会の方は執事たちが小広間に場所を移す準備をしていたのを確認したし、あとでセストに事情を伝達すればうまくやってくれるだろう。
< 181 / 344 >

この作品をシェア

pagetop