風に恋して
誰もいない廊下には、レオの焦る足音とリアの荒くなっていく呼吸の音が響いた。

階段を上がり、また長い廊下を歩いてリアの部屋に入るとベッドにリアを座らせて背中を支えながらティアラをとり、結っていた髪も解いた。

ドレスの背で編み上げている紐も解き、呼吸がしやすいように緩める。そうしてリアをベッドに横たえてからクローゼットへと向かい、ナイトガウンとタオルを取り出した。

リアの着替えとセストへの連絡を済ませると、レオはベッドの淵に座ってそっとリアの頬を撫でた。

「ごめん……」

自分が目を離してしまったから、またリアを苦しめることになってしまった。あのとき――自分の予感を信じていれば良かった。

リアの体調が悪かったのなら、すぐにでも退席させるべきだった。レオの判断ミスといってもいい。

「ごめん、な……」

謝っても、リアの苦しみが軽減されるわけではないけれど。

それでもレオはリアの手を握り、何度も何度も「ごめん」と呟いた――
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