風に恋して
「あれは、お前がやったのか?」

リアは首を振った。ちゃんと身体が動いたのかさえよくわからなかったが、レオは理解したようだった。

「そうか……眩暈は?」
「少し、だけ」
「それなら横になったほうがいい」

レオがリアの身体を横たえようとして、リアは咄嗟にレオの腕を掴んだ。

「リア?」

抱きしめて欲しい……鼓動が、聴きたい。安心する、その生命のリズムを。

クッとレオの袖を引っ張るとレオは理解してくれたのか、リアの身体を引き寄せて腕の中に閉じ込めてくれた。

リアはレオの胸に耳を当てる。レオが優しくリアの頭を撫でてくれる。

「ここにいるから……安心して眠れ、な?」

リアはレオの手に自分の手を重ね、指を絡めるようにして握った。

「レオ……このまま、いて……」
「あぁ」

安心するトーンに、リアはそのまま瞼の重みを受け入れた。
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