風に恋して
――リアの周囲をぐるぐると回る風。

『んー!』

楽しそうに響く声。

「誰?」

リアが問うと、笑い声が高くなった。

辺りは真っ白で、リアの周りには何もない。この空間がどれくらいの広さなのかもわからないほどの真っ白な世界だ。

夢なのだと、すぐにわかった。

キョロキョロと自分の周りを見回すリアの髪の毛が風になびく。風はその長い髪と戯れるように吹きつけ、リアの髪の毛を踊らせた。

『うー!んーう』

どうして、この風は自分に巻きつくように吹いているのだろう?

「レオ」
『あー、あー!』

リアがその名を呼ぶと、嬉しそうなはしゃぎ声が響いて風のスピードが速くなった。

「レオ?レオ、なの?」

いや、違う。レオの風はもっと緩やかな……

(会いたい)

そう思って。

「レオ」
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