風に恋して
「なぁ、リア。ひとつだけ、確認したいんだが……」
「はい」

リアの背中を撫でながら、レオが口を開く。

「お前に……ヴィエントの血は混ざっていない、よな?」
「はい。私の両親はどちらもマーレ王国の者です。でも、どうして?」

なぜ、レオはそんなことを聞くのだろう。リアが純粋なマーレの人間であることは、彼もよく知っているはずではないのか。

「いや……昨夜のことと、イヴァンがお前に気を送ってもらったときに、風属性を感じたと言っていたのが気になって、な」

風属性――リアから?

「私は純粋な水属性ですよ。私の両親も。それに、仮にヴィエントの血が入っていたとしても、祖父母より前の話になります。私に風属性が表れることはありません」
「そう、だよな……」

水属性の家系に1人くらい風属性が入ったところでその力はどんどん薄まってしまう。

属性には優勢・劣勢がないため、遺伝は単純に量なのだ。

リアのように純粋なマーレの家系――水属性――の者に少量の風属性が入っていたとしても、水属性が勝ってしまって表には出ないし、使えない。

つまり、どちらの力も使える者は両親がそれぞれ違う属性を持っている場合のハーフ。例えば、レオとリアの子供ならば――
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