風に恋して
「ところでユベール王子についてですが」
セストがトン、と音を立てて机に書類を置いた。
エンツォとユベール王子が同時期に動いていることから、彼らがつながっている可能性が高いと判断し、レオはセストに調べさせていた。
「彼の母親はレオ様もご存知の通り、ルミエール王側室の1人です」
「あぁ」
ルミエール国王の寵愛を独占するのがユベール王子の母親だというのは各国でも有名な話だった。だから、正妃の子を差し置いて彼が跡継ぎとして第一王子になっている。
レオは頷いて続きを促す。
「アンナ・ブイレント、旧姓アレグリーニ――カリストの姉です。つまり、表向きエンツォとユベール王子は従兄弟ということになります」
「なるほど。確かにカリストの母親はルミエールの者だったな。だが……」
彼女はルミエール王国財務大臣の娘だったはず。
アレグリーニ家は当時、どちらかといえば貧しい部類に入る貴族だった。そんな家の、しかも他国の貴族に嫁ぐことなど許されるはずもなく、周囲の反対を押し切って駆け落ち同然で結婚してヴィエント王国で暮らしていた。
それなのに、娘をルミエール王室に嫁がせるというのは理解しがたい。
セストがトン、と音を立てて机に書類を置いた。
エンツォとユベール王子が同時期に動いていることから、彼らがつながっている可能性が高いと判断し、レオはセストに調べさせていた。
「彼の母親はレオ様もご存知の通り、ルミエール王側室の1人です」
「あぁ」
ルミエール国王の寵愛を独占するのがユベール王子の母親だというのは各国でも有名な話だった。だから、正妃の子を差し置いて彼が跡継ぎとして第一王子になっている。
レオは頷いて続きを促す。
「アンナ・ブイレント、旧姓アレグリーニ――カリストの姉です。つまり、表向きエンツォとユベール王子は従兄弟ということになります」
「なるほど。確かにカリストの母親はルミエールの者だったな。だが……」
彼女はルミエール王国財務大臣の娘だったはず。
アレグリーニ家は当時、どちらかといえば貧しい部類に入る貴族だった。そんな家の、しかも他国の貴族に嫁ぐことなど許されるはずもなく、周囲の反対を押し切って駆け落ち同然で結婚してヴィエント王国で暮らしていた。
それなのに、娘をルミエール王室に嫁がせるというのは理解しがたい。