風に恋して
「カリストの父親には借金がありました。おそらくその肩代わりに娘を王に嫁がせることを条件とされたのでしょう」

現にアレグリーニ家が台頭し始めたのは、カリストの姉がルミエール王国へ嫁いだ後からだ。

「そうだとしても、エンツォとユベール王子が接点を持つことは難しくないか?」

ヴィエント王国の上流階級に当たる貴族の息子とはいえ、他国の王子に簡単に目通りがかなうとは考えづらい。しかも、虐殺事件で没落した家の人間だ。

「エンツォからユベール王子に近づいたと考える場合、難しいという結論になりますね。では、逆だったらどうですか?」

ユベール王子がエンツォの出生の秘密に気づいて接触を図った……?

「ユベール王子はずっとリア様を欲しがっていました。そしてエンツォの出生を知り、更に彼が復讐をしたいと思っているとわかったのなら、2人の利害は一致します」

リアを手に入れたいユベール王子。

ヴィエント王室に復讐したいと願うエンツォ、そしてその王室で大事にされているリア。
< 197 / 344 >

この作品をシェア

pagetop