風に恋して
「ノエ将軍についてですが……万が一を考えて、私が極秘に監視下に置いています。4カ国会議への護衛として連れて行く手配も済んでおります」

ノエ将軍はヴィエント王国の軍をまとめる、レオの信頼が最も厚い兵だ。あまり疑いたくないと言うのが本音ではあるが、皆の証言のつじつまが合わず、セストもレオも少々困惑している。

カタリナは、花束はノエ将軍からの快気祝いだと言っていた。だが、その後ノエ将軍に聞いたところ花束など贈っていない、と。

更に彼は交流会に家族を招いており、ほとんどずっと一家揃って一緒に広間にいたのが目撃されている。レオもそれは見た。だが、カタリナに接触したのも執事や侍女の証言から確かにノエ将軍だったという。

大勢の人間が集まる場所は、目撃者がいる一方で紛れ込みやすくもある。

「この、レフレクシオンを使われたと考えることは?」
「まぁ……ないとも言い切れませんが、それはレフレクシオンで気も隠せると仮定した場合ですね」

セストが顔を歪ませる。彼もまた、ノエ将軍に大きな信頼を置いている者の1人だ。

「そう、だな……」

ユベール王子が呪文を使えばすぐにわかる。彼は他国の人間、光属性を持つ者だからだ。あの場でたった1人の光属性、呪文を使う必要性のない交流会。気づかない方がおかしい。
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