風に恋して
アレグリーニ家の虐殺事件は有名になった。
エンツォはヒメナと共に実家に戻った。に義務教育を終えていたエンツォは貴族の跡取りが通う経営学や政治学などを学ぶ専門学校へと通っていたが、クラドール養成学校へと転校した。
今更アレグリーニ家を再建することにも興味はないし、クラドールになればヴィエント城へともぐりこめる。そして、オビディオに直接会うこともできる。それがどんなに狭き門だとしても、成し遂げてみせる。
それに養成学校には呪文修行の場もあるから、それも勉強することができる。
心の壊れてしまったヒメナを治したい、その方法を見つけたい、と言ったらヒメナの両親も学校の講師も皆がエンツォに優しくしてくれた。
ただし、エンツォには監視がつくことになった。いくら偽装したからといって、犯人が見つからないうちは疑われるのは当然。
今はまだ、記憶を見られるところまでの捜査はされていない。人権の問題もあるから、そこまで踏み切るにはかなりの証拠が揃うか、自白がないと許可が下りないのだろう。
母親も乱暴されてエンツォ自身もあの後、争いで傷を負ったようにみせていたし、階下で震えているだけだった使用人の証言もある。カリストの残した金を分け与えた彼女たちもカリストに乱暴されたことがあるらしかったからすんなりと協力を受け入れてくれた。
だが、それも時間の問題――それをどうやって切り抜けるか考えていたときだった。エンツォすら知らない“犯人”が捕まったと、自白した彼らの記憶にはきちんと事件のことが描かれていると、知らせが届いた。
カリストとずっと損な取引を強要されていた貴族の男だった。その男が雇ったという暗殺者も一緒。
そしてすぐに、エンツォに会いに来た人物がいた。
エンツォはヒメナと共に実家に戻った。に義務教育を終えていたエンツォは貴族の跡取りが通う経営学や政治学などを学ぶ専門学校へと通っていたが、クラドール養成学校へと転校した。
今更アレグリーニ家を再建することにも興味はないし、クラドールになればヴィエント城へともぐりこめる。そして、オビディオに直接会うこともできる。それがどんなに狭き門だとしても、成し遂げてみせる。
それに養成学校には呪文修行の場もあるから、それも勉強することができる。
心の壊れてしまったヒメナを治したい、その方法を見つけたい、と言ったらヒメナの両親も学校の講師も皆がエンツォに優しくしてくれた。
ただし、エンツォには監視がつくことになった。いくら偽装したからといって、犯人が見つからないうちは疑われるのは当然。
今はまだ、記憶を見られるところまでの捜査はされていない。人権の問題もあるから、そこまで踏み切るにはかなりの証拠が揃うか、自白がないと許可が下りないのだろう。
母親も乱暴されてエンツォ自身もあの後、争いで傷を負ったようにみせていたし、階下で震えているだけだった使用人の証言もある。カリストの残した金を分け与えた彼女たちもカリストに乱暴されたことがあるらしかったからすんなりと協力を受け入れてくれた。
だが、それも時間の問題――それをどうやって切り抜けるか考えていたときだった。エンツォすら知らない“犯人”が捕まったと、自白した彼らの記憶にはきちんと事件のことが描かれていると、知らせが届いた。
カリストとずっと損な取引を強要されていた貴族の男だった。その男が雇ったという暗殺者も一緒。
そしてすぐに、エンツォに会いに来た人物がいた。