風に恋して
破壊
セストは珍しくぼんやりと窓の外を眺めていた。午前中の会議の記録をまとめる手も止まっている。
ノエ将軍がユベール王子に接触する様子はない。会議中、更に厳しい警備体制をとっているフラメ城内でもレオの側を片時も離れず護衛に徹している。今はレオが食事中であるから一緒に広間にいる。
(風……)
窓から覗く木の枝が大きく揺れるほどの風が吹いている。フラメ王国は穏やかな気候の国で1年を通して温暖、嵐はほとんどないし、強い風が吹くことも珍しい。
交流会のときの突風も、こんな風だった。
だが、あの後聞いたところレオは呪文を使っていないと言っていたし、リアは風を使えない。それよりも、あんなに大きな風を巻き起こしていたのに誰の気も感じられなかった。
「セストさん?」
「――っ!」
急に肩を叩かれて、ビクッとセストの身体が跳ねた。その拍子にコーヒーカップを倒してしまい、まとめていた書類に染みが広がっていく。
「っ!申し訳ありません、私が急に声を掛けたから」
「いえ、私もボーっとしてしまって、すみません。平気です」
慌ててカップを取り、流れてしまったコーヒーを叩くようにして拭いていくのはフラメ王国第一王子の側近イェニー。
ノエ将軍がユベール王子に接触する様子はない。会議中、更に厳しい警備体制をとっているフラメ城内でもレオの側を片時も離れず護衛に徹している。今はレオが食事中であるから一緒に広間にいる。
(風……)
窓から覗く木の枝が大きく揺れるほどの風が吹いている。フラメ王国は穏やかな気候の国で1年を通して温暖、嵐はほとんどないし、強い風が吹くことも珍しい。
交流会のときの突風も、こんな風だった。
だが、あの後聞いたところレオは呪文を使っていないと言っていたし、リアは風を使えない。それよりも、あんなに大きな風を巻き起こしていたのに誰の気も感じられなかった。
「セストさん?」
「――っ!」
急に肩を叩かれて、ビクッとセストの身体が跳ねた。その拍子にコーヒーカップを倒してしまい、まとめていた書類に染みが広がっていく。
「っ!申し訳ありません、私が急に声を掛けたから」
「いえ、私もボーっとしてしまって、すみません。平気です」
慌ててカップを取り、流れてしまったコーヒーを叩くようにして拭いていくのはフラメ王国第一王子の側近イェニー。