風に恋して
「セストさんがぼんやりするなんて珍しいですね?あぁ……これはもう読めませんね。本当にすみません。最初からやるなら、私もお手伝いしますから」
イェニーは深く頭を下げ、申し訳なさそうな視線をセストに向けた。
「ありがとう。でも、大丈――」
そう言いかけて、セストはハッと気づく。
(最初から?)
最初は、研究室でリアが……いや、違う。それは最初に“エンツォが仕掛けてきた”とき。リアをヴィエント城へ連れ戻したのが本当に最初の出来事。そして、その夜レオは――
「――っ!」
セストは勢いよく立ち上がった。そして迷わず隣の広間へと続く扉に進む。
「「セストさん!?」」
他国の側近たち全員が、セストらしからぬ行動に驚いている。そもそも、今セストが向かっている扉の向こう、広間で王や王子たちが食事中だ。そんな中に入っていくなど……
だが、誰かが止める間もなくセストは扉に手を掛けた――
イェニーは深く頭を下げ、申し訳なさそうな視線をセストに向けた。
「ありがとう。でも、大丈――」
そう言いかけて、セストはハッと気づく。
(最初から?)
最初は、研究室でリアが……いや、違う。それは最初に“エンツォが仕掛けてきた”とき。リアをヴィエント城へ連れ戻したのが本当に最初の出来事。そして、その夜レオは――
「――っ!」
セストは勢いよく立ち上がった。そして迷わず隣の広間へと続く扉に進む。
「「セストさん!?」」
他国の側近たち全員が、セストらしからぬ行動に驚いている。そもそも、今セストが向かっている扉の向こう、広間で王や王子たちが食事中だ。そんな中に入っていくなど……
だが、誰かが止める間もなくセストは扉に手を掛けた――