風に恋して
――カタカタとわずかではあるが、先ほどから広間の窓が揺れているのが気になる。

午前の会議を終えて、レオはフラメ城の広間で食事をしているところだ。他国の国王や王子たちも一緒だが、ノエ将軍がユベール王子に接触する機会は今のところなかった。

こうなれば、折を見てユベール王子に直接問いただすしかないだろう。

「フラメ王国でこんなに風が吹いているのは珍しいですね」

レオがそんなことを考えていると、マーレ王国の王子が窓に視線を向けた。風は先ほどより強くなっているようだ。

「ふむ……今日はずっと晴れるという予報なのだが」
「変な風、ですね」

フラメ国王も王子も眉を顰めて窓の外を見た。

変……それは、レオも感じていた。匂いが、あのときと同じで……

(親近感?)

そう、言葉で表すならそれだ。レオの使う風に似た――

「――っ」

ガタン、と音を立ててレオが席を立つ。広間に居た全員の視線がレオに集まったけれど、レオはそんなことを気にする余裕などなかった。
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