風に恋して
ユベール王子やノエは城にいるリアに手を出せない。

(ならば、誰だ?)

研究室、呪い、記憶に再び手を入れようとしたときも交流会でも一番リアの側にいた人物。

「ま、さか……」
『あぁぁん!まー!まー!』

レオがその答えにたどり着いたとき、風の泣き声も大きくなった。

「申し訳ないが、緊急事態だ。私はこれで失礼させてもらう。セスト!」
「はい」

セストは頷いて呪文を唱え始めた。

「リアに何かあったのだね?」
「この子の騒ぎ方……早く、帰ってあげて」

マーレ国王と王子に頷いてからレオも呪文を唱え始め、2人の周りに風が渦を巻く。

(リアのところに、だ。いいな?)
『ふぇっ、まー』

泣きながらも、レオとセストを包みこんでいく我が子の力は相当のものだ。さすがに1人では呪文を唱えられないので人を移動させることはできないようだけれど。

「行くぞ」

そのレオの声とともに風がザッと速度をあげ、次の瞬間、レオとセストは風と共に消えた。
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