風に恋して
「リア、最後のプレゼントにそれもちゃんと思い出させてあげる」
「エンツォ……」
あぁ、彼は……悲しみに、憎しみに心を支配されてしまっている。
どうして、こんな風になってしまったのだろう。
カリストが彼を虐げていたから?
マリナがヒメナとオビディオに一夜の逢瀬を与えたから?
カリストがヒメナの純潔を奪ったから?
それとも、初めから……オビディオとヒメナが出会ってしまったから?
違う。そうやって辿っていったらきりがないのだ。本能のままに、ときには定められた運命を受け入れて、生きてきた人々を責めることなど……
強いて言うならば……神がそれを望んだ、と。
そんな風に思うのは、リアが逃げているからだろうか。自分が彼に何もしてあげられないことへの、言い訳なのだろうか。
スッと座り込んで目線を合わせ、リアを見つめるエンツォの瞳は綺麗な海の色のようだ。深い、青。
「さよなら、リア」
そう、言われて……リアの頬に一筋の涙が伝った。
「レコルダール」
それが、リアに届いた最後の言葉――追憶の、呪文。
「エンツォ……」
あぁ、彼は……悲しみに、憎しみに心を支配されてしまっている。
どうして、こんな風になってしまったのだろう。
カリストが彼を虐げていたから?
マリナがヒメナとオビディオに一夜の逢瀬を与えたから?
カリストがヒメナの純潔を奪ったから?
それとも、初めから……オビディオとヒメナが出会ってしまったから?
違う。そうやって辿っていったらきりがないのだ。本能のままに、ときには定められた運命を受け入れて、生きてきた人々を責めることなど……
強いて言うならば……神がそれを望んだ、と。
そんな風に思うのは、リアが逃げているからだろうか。自分が彼に何もしてあげられないことへの、言い訳なのだろうか。
スッと座り込んで目線を合わせ、リアを見つめるエンツォの瞳は綺麗な海の色のようだ。深い、青。
「さよなら、リア」
そう、言われて……リアの頬に一筋の涙が伝った。
「レコルダール」
それが、リアに届いた最後の言葉――追憶の、呪文。