風に恋して

逆らえなかった運命

――身体が痛い。

頭の中も、腕も、足も、内臓まですべて……何かに押し潰されるように圧力がかかっている。

声が、音が、色が、リアを襲う。

痛い……目も耳も。

苦しい……心臓が潰されるように。

レオがリアを抱きしめたと思えば、エンツォが笑顔で診療所に顔を出して。

目を瞑っても、たくさんの人々の顔がリアの瞳に映る。

『リア』と、たくさんの声が重なって。一体誰が自分を呼んでいるのかわからない。

耳が痛いほどの音と声が通り過ぎていくのに、自分の声は聴こえない。大きく口を開いて、「助けて」と叫んでいるはずなのに。

溺れていく。記憶の海に、沈んでしまう。

リアがそれに逆らってもがいていたときだった。

『君が“赤い瞳”で人を殺めた――』

一際大きな声が響いてリアの意識が遠ざかる。深い海の底へと沈んでいくように――
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