風に恋して
「ねぇ、恋って、どんな気持ちなの?」

リアがそう問うと、マルコは少し寂しそうに笑った。

「そうだなぁ……恋は、簡単に言ってしまえばドキドキする気持ちのことだ」
「ドキドキ?」

リアは心臓に手を当てて考える。この鼓動が速くなったら、恋?そうすると、自分はまだ恋をしたことがない。

「そう、苦しくなる。誰かと一緒にいて安心するのは愛だよ。クラウディアとリベルトがいると安心するだろう?それは、お前が愛されているからだ」

苦しくなるのは、少し怖い。それなら、安心できる愛のほうがいい気がする。

「恋をしなくても、愛になる?」
「それはどうだろうなぁ……両親とお前の関係のことを言っているのなら、それはまた違う“愛”だから。恋をして、それが愛になったら永遠の誓いをするんだよ」

マルコの言っていることはわかる。家族との愛と恋人との愛は違うということなのだろう。

苦しいのは嫌だ。安心だけ欲しい。そう思うのは、わがままなのだろうか?

「レオは……恋をしたことがあるのかな」

もし、レオが恋を知っているのならどんな気持ちか彼にも聞いてみようかと、そんなことを考えた。

「レオ様?ははっ……なんだ。心配していたが、大丈夫そうだな」
「……え?」

マルコの言葉の意味を図りかねて、リアは首を傾げる。そんな彼女の頭をマルコは大きな手で優しくポンと叩いた。

「すぐにわかるさ」

そのマルコの笑顔はとても嬉しそうだった。
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