風に恋して
グン、と引っ張られるような感覚。マルコの身体の中に沈んでいくような……

初めて自ら力を解放した。けれど、どうすればいいのかが本能的にわかる。

リアはマルコの傷ついた細胞に視線を合わせ、ひとつずつ修復していく。だんだんと、すべてが元通りになり始めて……だから、少しホッとしてしまったのかもしれない。

ほんのわずかな――言うなれば、縫合ミス。でも、そのわずかなズレが人体に及ぼす影響は計り知れない。

リアの心臓が大きく音を立てるのと、マルコのそれが生命の活動を止めるのは、皮肉にも同時だった。

「や……」

スッと、目の前にあった細胞の映像が遠のいていく。そして見えたのは青白い顔をして横たわったマルコ。それもすぐに歪んで景色が回る。

頭がガンガンと叩かれるように痛くて、胃からこみ上げてくるもの。身体が熱くて呼吸ができない。

「いや、いやぁぁぁっ!」
「リア!」

立っていられなくなって倒れるリアを、レオの腕が支えてくれたのがおぼろげにわかって。

そこで、リアの意識は途絶えた――
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