風に恋して
レオはリアの頬をそっと撫でた。

「いくぞ、リア。必ず……受け止めろ。お前と、お前の中の命のために」

額に口付けを落としてから、リアの心臓に手を当てる。本来はリアのチャクラの源であるセントロが位置する下腹部に入れる方が良いが、レオはそもそもチャクラ変換という繊細な技術を持ち合わせていない。

それならば……風属性のチャクラを水属性であるリアに入れるなら、紋章の刻まれた王家とのつながりのある場所しかない。そこからならば負担は少し軽くなるだろう。

レオは自分の風をできるだけ弱く送り込んでいく。

「――っ、はっ……うっ」

少しして、リアが苦しそうに呻き始めた。そして心臓に当てられたレオの手を退けようとする。苦しいのだ。

「リアっ、もう少し、もう少しだから……」

レオはリアの右手を左手で掴んでベッドに縫い付けた。指を絡めて、ギュッと握る。

「は、くっ……」
「リア、頼む。起きてくれ。目を覚ませ!」

レオがそう叫んだときだった。
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