風に恋して
「……」

情熱を秘めたレオの漆黒の瞳に見つめられて、身体が熱くなる。リアは少し顔を背けてもう1度「ダメ」と言った。

けれど、自分でもそれがとてもか細くて……全く“ノー”という返事になっていないことがわかってしまった。

その間もずっと、レオの視線を感じる。

「ひゃっ」

黙ったままのリアの首筋を、レオの指が這う。その道筋が、火が灯ったように熱い。

「レオっ」

リアが涙目になりながらレオに視線を戻す。先ほどと変わらない、リアを求めるその瞳の色に。

(だ、だめ……)

そう思うのに。

「……っ、ゆっくり……し、て…………」

消え入るような声。レオの誘惑に勝てるわけがないのだ。いつだって、リアはレオの熱に浮かされてしまうのだから。

「あぁ……」

レオはチュッと頬にキスをして、リアを抱き上げた。
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