風に恋して
レオはリアの腰に回した手に力を込めた。更に細くなったように思うのは、まともに食事をしていないと知っているせいだろうか。

「お前もわかっているのだろう?いつまで続けるつもりだ?」
「……っ」

頬に当てたレオの手が、濡れていく。

クラドールであるリアに、食事をしないということがどういうことなのかわからないはずがない。この城から抜け出すことができないことも、レオが自分を逃がす気がないことも、全部……わかっているのだ。

ただ、意地を張っているだけで……

リアは昔から、そうして頑ななところがあった。特にレオに対しては意見を曲げない。

レオはフッと弱々しく微笑んだ。

「帰ってきてから、泣いてばかりだな」

そう言うと、またリアの瞳から涙が一筋零れ落ちた。それを唇で掬い、その頭を抱えて引き寄せてキスをすると、リアの身体が硬くなった。

レオはリアの背中をさすりながらキスを深くしていく。

「は、離し……て、くださ……い」

キスの合間にリアが訴えながらレオの腕の中で震えている。本来、レオに擦り寄るように甘えるはずのリアが。

こんな風に熱を分け与えてやると、必ず首に手を回して恥じらいながらも更にレオの唇を求めるリアが――
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