風に恋して
「でもさ、僕も引き下がれなくなっちゃったんだよねぇ。リアが赤い瞳の所有者だって知っちゃったし」
「お前っ!リアは争いの道具ではない!」

リアを道具としてしか見ていないユベール王子の発言に、レオは思わず大きな声を出した。怒りで身体が震える。だが、ユベール王子は特に気にした様子もなく軽い調子で続ける。

「4年前に気づけていれば、無理矢理にでも僕のものにできたのに。今じゃ抱いちゃったら心臓が燃えて死んじゃうし」

(4年、前……?)

レオはユベール王子を見た。

先日、リアとセストと推測したとおりのことが起きていたのだとしたら。

「大将が瀕死の状態だなんて、普通何が何でも助けない?それが死んだっていうからさ。赤い瞳を持ってるなんて思わないでしょ?」

ユベール王子が肩を竦めた。

「お、前……最初から、ヴィエント王国の軍を狙って……」

喉に何かが詰まってしまったような声しか出ない。
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