風に恋して
「エンツォは、弟に愛されてるね」
「からかうなよ。お前だって、あいつのことが好きだと言っただろ」

レオがそう言うと、リアはクスッと笑った。

「なあに?ヤキモチ?」

レオはグッと顔をリアに近づけた。リアの呼吸の速度も、温度もわかる距離。

「そうだよ。お前はエンツォに肩入れしすぎだ……」
「レ――っ」

2人の唇が重なる。リアの後頭部に手を添えて深く求めていけば、リアもレオの首に手を回してくれた。

「んっ……私は、レオだけだよ。知ってるでしょ?」
「知っている。でも、それとこれとは別問題なんだ」

唇を離して、近距離で囁き合う。

「私のこと、信じてないの?」
「そうじゃない。信じていても不安だって言っているんだ」

レオはリアの唇を指でなぞった。リアの熱い吐息がかかってくすぐったい。
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