風に恋して
「レオっ、うっ……ふぇっ、ゃ……うぅ、っく、ひっく……」

両手で涙を拭いながら、泣きじゃくるリア。それが、黒い感情に飲み込まれていたレオの理性を掬い上げる。

「リ、ア……」
「うぇっ、く、うぅっ」

レオはリアを起こすと、肌蹴たナイトガウンを直した。少しとはいえ、裂けた布が痛々しい。

少しずつ、なんて。結局、気持ちを抑えられなくてリアを怖がらせただけだ。自分が情けない。

「ごめん、泣くな」
「や、だ……っ、ふぇっ」
「怖かったな?ごめん、俺が悪かった」

リアを抱き締めながら、背中をさすってなだめる。

しばらくすると、リアは少し落ち着いてレオの胸を押し返してきた。レオはそれに従って、リアから身体を離した。

泣き腫らした目と頬についた幾筋もの涙の跡。レオはベッドサイドに置いてあったカーディガンをリアにそっと羽織らせ、額にそっとキスをしてからベッドを降りた。

リアは何も言わなかった。いつも微笑んで言ってくれる「おやすみ」さえも。レオも何も言えないまま、そっとリアの部屋から出て行った――
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