風に恋して
「リア、飲めるか?」

しかし、リアはレオの声が聴こえていないらしく苦しそうに呻くだけ。

レオは舌打ちをしてその液体を自分で煽り、飲み込まないままリアに口付けた。グッとリアの後頭部を押さえて口移しで飲ませていく。

「んっ……」

リアがすべて飲み込んだのを確認してから唇を離した。

「リア」
「はぁ、はっ……っ」

まだ少し苦しそうではあるが、リアの瞳にはしっかりとレオが映っている。レオはリアをギュッと抱き締めた。

「大丈夫だから」

レオが何度も「大丈夫」と言い聞かせるように呟き、リアの背を擦ってやるとリアはレオの背中に手を回してしがみ付くようにした。

それが嬉しくて更に強く抱き締める。こんな状況で、不謹慎だと……思うけれど。リアがレオを頼ってくれている気がして、守ってやらなければと思う。

「リア。もう、大丈夫だから。何も考えずに眠るんだ」

そして――

「れ……お、っ…………」

微かに漏れた声はレオの名を紡ぎ、リアはそのまま気を失った。
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