風に恋して
「……わかった。とにかく、研究室の鍵を変えろ。すべてだ」
「承知しております」
セストは軽く頭を下げた。
「2人とも、忙しいのに悪かったね。もう仕事に戻っていいよ」
「「は、はい」」
ディノとイヴァンは、セストに微笑まれてそそくさと執務室を出て行った。
「そもそも……」
執務室の扉が閉まるのを確認してから、セストはレオに向き直る。
「あの2人は、リア様の記憶について知りません。つまり、“リア様の精神崩壊を促そうとして彼女の記憶を刺激する”という結論に至る前提すら、彼らの中には存在しないのですよ」
ディノの鍵を盗んだ何者かが、リアをあの部屋に入るよう仕向けた。
そう考えるのが妥当だ。リアの記憶について知っているのは、レオとセスト、カタリナ、そしてリアの食事の世話をさせているシェフのみ。
「あるいは……スパイがいる、という可能性も否定できません」
「それは、エンツォがこの城にいる……と?」
セストの推測に、レオはこめかみを押さえた。
「承知しております」
セストは軽く頭を下げた。
「2人とも、忙しいのに悪かったね。もう仕事に戻っていいよ」
「「は、はい」」
ディノとイヴァンは、セストに微笑まれてそそくさと執務室を出て行った。
「そもそも……」
執務室の扉が閉まるのを確認してから、セストはレオに向き直る。
「あの2人は、リア様の記憶について知りません。つまり、“リア様の精神崩壊を促そうとして彼女の記憶を刺激する”という結論に至る前提すら、彼らの中には存在しないのですよ」
ディノの鍵を盗んだ何者かが、リアをあの部屋に入るよう仕向けた。
そう考えるのが妥当だ。リアの記憶について知っているのは、レオとセスト、カタリナ、そしてリアの食事の世話をさせているシェフのみ。
「あるいは……スパイがいる、という可能性も否定できません」
「それは、エンツォがこの城にいる……と?」
セストの推測に、レオはこめかみを押さえた。