風に恋して
エンツォ・アレグリーニ。元王家専属クラドール――そして、リアの記憶に鍵を掛けた男。
彼もオルフィーノ一家が王家専属クラドールとして重用されていたのと同じ時期に務めていた。クラドールとしての腕は確かだったがニコリともしない男だった。
物静かで何を考えているのかわからない男、それがレオの印象だった。
ただ、レオを見るときはその瞳の奥に揺れるものがあったように思う。その理由を知ったのは、エンツォがリアと共に姿を消してからだったけれど。
それは、1年ほど前のこと。今日のように雨が強く降り、風が吹き付ける夜だった。
必死に探したけれど、まったく見つからなかった2人。それが、リアの両親の命日に墓へ行ったらあっさりと会えた。
1年もの間、あらゆる手を使っても見つけることができなかったのに、だ。わざとリアをレオの元へと戻したと……そう思わずにはいられない。
そして今度は自分で塗り替えたリアの記憶の無理矢理呼び覚まそうとしている。
(一体何を考えている?)
「どちらにしろ、すぐに調べます」
セストの声に、思考に沈んでいたレオの意識が引き戻される。
「頼む。だが――」
「承知しております。リア様の様子を見てから、でしょう?」
その言葉にレオはフッと笑みをこぼして立ち上がった。
「あぁ」
彼もオルフィーノ一家が王家専属クラドールとして重用されていたのと同じ時期に務めていた。クラドールとしての腕は確かだったがニコリともしない男だった。
物静かで何を考えているのかわからない男、それがレオの印象だった。
ただ、レオを見るときはその瞳の奥に揺れるものがあったように思う。その理由を知ったのは、エンツォがリアと共に姿を消してからだったけれど。
それは、1年ほど前のこと。今日のように雨が強く降り、風が吹き付ける夜だった。
必死に探したけれど、まったく見つからなかった2人。それが、リアの両親の命日に墓へ行ったらあっさりと会えた。
1年もの間、あらゆる手を使っても見つけることができなかったのに、だ。わざとリアをレオの元へと戻したと……そう思わずにはいられない。
そして今度は自分で塗り替えたリアの記憶の無理矢理呼び覚まそうとしている。
(一体何を考えている?)
「どちらにしろ、すぐに調べます」
セストの声に、思考に沈んでいたレオの意識が引き戻される。
「頼む。だが――」
「承知しております。リア様の様子を見てから、でしょう?」
その言葉にレオはフッと笑みをこぼして立ち上がった。
「あぁ」