風に恋して
レオがセストと共にリアの部屋を訪れると、リアはベッドでぐっすり眠っていた。

呼吸も落ち着いていて、今回は危機を免れたようだ。

セストがリアの様子を見て、レオに向かって頷く。レオも頷き返して、リアの眠るベッドにそっと腰掛けた。

あどけない寝顔。リアより遅く眠って、早く起きて……レオの腕の中で安心したように眠るリアを見るのが好きだった。

「……ん…………」

レオがしばらくリアの寝顔を見つめていると、リアの瞼が薄っすらと開く。ぼんやりと視線を彷徨わせて、レオの方を見て……

「リア?」

レオが呼びかけると、頷くような仕草を見せてからまた目を閉じてしまった。

「……リア」

今のは、レオに答えてくれたと思っていいのだろうか。それともただ、意識がハッキリしなかっただけ?

「少し、夢を見ているのかもしれません」

セストがレオの心を察して口を開く。

「夢?」
「はい。記憶が刺激されたので、本物の記憶の方が浮かんでくるような……私も詳しくはわかりませんが、記憶操作の呪縛が緩むと頭の中でそのときの出来事などが再生されると医学書にはありました」

レオはそれを聞いて、リアの額にそっと手を当てた。
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