風に恋して
それを見た瞬間、笑みがこぼれた。その翡翠色の瞳がとても真剣で、真っ直ぐにレオを見てくれていたから。だから……

「リア……俺と、結婚して欲しい」

その言葉に、リアの瞳が見開く。驚いているのかもしれない。リアがレオの想いを受け入れてくれたとき、レオは“待つ”と言った。

キスと、少し触れ合う程度の1歩進んだ関係。それ以上は、リアがそうしたいと思えるときまで待つと約束した。

レオに触れられて、今まで経験したことのない感覚にリアが戸惑っていたからだ。

けれど、リアにとってそれはもっと長い期間だったのかもしれない。

「意味、わかるよな?お前が欲しい、って言ってる」
「そ、れって――」
「今夜。今すぐに」

リアが問う前に、レオは己の欲望を真っ直ぐにぶつける。

ずっと、リアを求めていた。だけど、傷つけたくなくて、大切にしたくて、待とうと決めた。怖がりながらではなくて、リアにも心からレオを求めて欲しかったから。

けれど、もう待てない。

「怖いんだ。お前が俺から離れていってしまうんじゃないかって。ずるいのはわかってる。だけど、俺はお前じゃなきゃダメだから。俺を刻み付けたい」

レオがリアの身体を抱き締めると、リアは少しだけ戸惑ったように身じろいだが……

「優しく、してくれる――?」

そっと、レオの背中に腕を回してくれて。
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