風に恋して
恋人という関係になってから、レオの部屋で一緒に眠ることもあった。

けれど、その夜は――

広いレオの部屋の温度を、リアの熱い吐息が上げていって。

レオが白い肌に口付けを落として柔らかな肢体をなぞればリアが仰け反り、シーツを握り締める。その手をとって指を絡め、口付けをする。

「レオっ、んっ……あつ、い……っ」
「もっと、熱くしてやる」

必死にレオの想いを受け止め、そして応えるリアがどうしようもなく愛おしかった。唇を離して、汗で肌に張り付いたリアの髪をそっと払ってやると、リアが潤んだ瞳でレオを見つめる。

「戻れないぞ」
「うん……」

覗き込んだリアの瞳は、不安そうに揺れていたけれど、その奥には確かに熱が宿っていた。レオは微笑んで、リアの額、瞼、鼻、頬、唇と順に口付けを落とした。

リアが目を閉じ、レオはその心臓に手を当てた。大きく脈打つリアの命。

「ヴィエント・デ・ラ・ヴィーダ……」

小さな風の渦が、レオの手のひらからリアの心臓に吸い込まれていく。レオがリアの太ももに手を添えると、リアがピクッとした。つないだ手に力がこもる。

「怖いか?」
「少、し……でも、大丈夫だよね?レオのこと……好き、だから」

リアが震えた声で言う。
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