風に恋して

呪い

リアはぼんやりと窓の外を見つめていた。

あの日、レオのキスを自ら受け入れた。優しい口付けはリアの思考を甘く溶かし、夢中に……させた。

熱く吹きつけるレオの情熱という風に、また流された。

違う。

レオは強引ではなかった。リアがレオの胸を押し返したとき、レオは1度止ってくれた――選択権はリアにあった。

そして、リアはレオと唇を重ねることを……選んだ。

あの時間は、“レオに想いを寄せる自分”が確かに存在した。確かに、レオを求めた。

けれど、部屋に戻って熱が引いていくと急に怖くなった。罪悪感、とでもいうのだろうか。自らレオとのキスを望んだことは、エンツォを裏切ることだ。

それが偽物の気持ちだとわかっていても、リアにはその歪んだ記憶の隙間をコントロールすることができない。囚われている……

(私は……)

自分は、どうしたいのだろう。

どれが自分の本当の気持ちで、どれに従ったらいいのか。

そんなことを考え続けるせいか、頭痛が治まらない。痛みはそれほどでもないが、何かリアの心の奥、芯を刺激するような……チクリとしたそれ。
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