風に恋して
頭が痛い。
食欲なんてない。食べたいと思ったのはリアじゃない。
大好きなクリームシチューも、シェフの作る口の中でふんわり蕩けるスフレもいらない。
リアは弱々しく笑った。
そうだ、このシェフは自分の好みを把握していて、いつも……リアがねだれば何でも作ってくれた。
「お食事が喉を通らないのでしたら、お飲み物にいたしましょう?ね、リア様」
カタリナがリアをなだめるように言う。
「ミルクティーがよろしいですか?それとも、ピーチやストロベリーのフレーバーティーが……」
「いらないと言ってるの!」
リアは更に大きな声を出した。
(どうして……)
自分の好みを把握している城の者たち。ここで生活をしているリアは、自分の知らない“リア。”
“リア”が食べたいと思うものは食べたくない。どうして“リア”の好みとリアの好みは同じなのだろう。
(誰なの?)
一体、リアの他に誰が“リア”であるのだ?
あぁ、もう……頭の中がぐちゃぐちゃで、わからない。
偽りの気持ちと、わからない本当の気持ち。エンツォを好きな自分と、レオを受け入れた自分。
(誰、なの?)
食欲なんてない。食べたいと思ったのはリアじゃない。
大好きなクリームシチューも、シェフの作る口の中でふんわり蕩けるスフレもいらない。
リアは弱々しく笑った。
そうだ、このシェフは自分の好みを把握していて、いつも……リアがねだれば何でも作ってくれた。
「お食事が喉を通らないのでしたら、お飲み物にいたしましょう?ね、リア様」
カタリナがリアをなだめるように言う。
「ミルクティーがよろしいですか?それとも、ピーチやストロベリーのフレーバーティーが……」
「いらないと言ってるの!」
リアは更に大きな声を出した。
(どうして……)
自分の好みを把握している城の者たち。ここで生活をしているリアは、自分の知らない“リア。”
“リア”が食べたいと思うものは食べたくない。どうして“リア”の好みとリアの好みは同じなのだろう。
(誰なの?)
一体、リアの他に誰が“リア”であるのだ?
あぁ、もう……頭の中がぐちゃぐちゃで、わからない。
偽りの気持ちと、わからない本当の気持ち。エンツォを好きな自分と、レオを受け入れた自分。
(誰、なの?)