風に恋して
「ぅ、あ……はっ、はぁっ、はぁ……ゃ……」

リアの瞳がスッと色を取り戻し、そこから大粒の涙が零れた。そしてレオの首から手が離れる。レオがリアの身体を抱き起こすと、リアはレオにしがみついて泣きじゃくった。

「っ、いや……ころ、した……っ、くな……はっ、ぅっ……」

リアが呼吸の合間に掠れた声を出す。レオか心臓に入れた気が引き起こす痛みと、人を殺してしまうという恐怖に、レオのシャツを掴む手が震えている。

「リア。もう大丈夫だから」

レオは優しく背中を撫でてやった。

それでも、彼女の痛みはレオが呪文を解除するまで続くのだ。

だから――

「はっ、はぁっ、れ……ぉ……?」
「あぁ、俺だ。ここにいるから……“おやすみ”」

レオがそう言うと、リアの手からフッと力が抜けた――
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