風に恋して
「あぁ……なるべく、強めにかけてやれ」
「承知しました」

少しでもリアの苦しみを和らげてやりたくて、そんなことをセストに頼んだ。セストもすべて承知の上で、それでもレオの言う通りにトラッタメント――治療――を施してくれる。

痣はすぐに消える。けれど、おそらく解熱効果はあまり――いや、全くないだろう。

いつか、リアが力を使ってしまったときも嘔吐を繰り返し、頭痛と眩暈で起き上がるのも大変な状態だった。高熱も2、3日続いたと記憶している。

あのときは完全に赤い瞳の能力を使ってしまったから特にひどかったのだろうけれど、今回は寸前でレオが止めたため症状は少し軽くて済むはずだ。

大きな力には、見返りが必要。それを、こんな小さく儚い存在にまで課す神は……人々が思い描く彼の像とは掛け離れていて、残酷な存在なのかもしれない。

セストがいくら優秀であっても、彼のトラッタメントはリアの苦しみを和らげることができない。

“赤い瞳”の副作用は病気ではなく、代償だから――
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