風に恋して
――自分の呼吸音が、だんだんと大きく聞こえるようになってくる。

「ん……」

リアが目を開けると、天蓋が映った。

頭がくらくらする。手の甲を目元に当てて、ぐるぐる回る視界を遮った。

深呼吸をしてからゆっくりと上半身を起こすとソファでレオが山積みの書類に何か書いてはまた別の山に置いていくのがぼんやりと見えた。

まだ少し視界が歪む。

「――っ」

目を開けていられず、ギュッとまぶたを閉じた。

「リア?気がついたのか」

シーツの擦れる音でベッドの方へと視線を向けたレオが、リアに気づいたようだ。リアはゆっくりと目を開けて、ベッドに近づいてくるレオを見る。

「水、飲むか?」

レオがグラスに水を注いで渡してくれる。それに手を伸ばそうとするのに、腕が思うように動かない。

「ほら」

そんなリアの様子に気づいて、レオはベッドの淵に座ってリアの手にグラスを持たせた。自分の手も添えて、リアの口元に持っていく。

「ん……」

リアはゆっくりとグラスの水を飲んだ。
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