絶望の淵で
「まち針…?それをどうするの…?」

「も〜鈍いな岬は!針治療だよ。針治療で風邪を治してあげる!…こんな風にね!」



紗英は一本のまち針を私のふとももに突き刺した。



「!!―痛ッッ!」

「ハハ!風邪治った〜!?」

「一本じゃ無理でしょ〜!ってかふとももって効くの?」

「まず針治療が風邪に効くか謎だよ!」

「まぁどっちでもいいけどね!」



そんな声を聞きながら痛みでうずくまっていると、両腕を掴まれベッドの上に俯せに倒された。



「やっぱり針治療といえば背中だよね〜!」


そう言いながら、紗英が私のTシャツをまくりあげる。



「じゃあ一本目いくよ〜!」





プツ――


「痛ッッ!!」

背中に鋭い痛みが走る。


「痛い〜?でも治療だから我慢してね〜!あ、ちなみにこれ100本あるから。」





紗英は笑顔で針を刺し続けた。
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