絶望の淵で
――針を刺し始めて30分が経過した。
「はい、99本目〜!」
プツ―
「ハァ…ハァ…」
もはや痛みは感じず、背中は血に染まっている。
「ラスト〜!」
プツ―
(終わった…)
「なんか物足りないな〜…」
(ッッ!!)
その言葉に反応してしまった。
「やっぱり岬も物足りないんだ〜!…あ、あれは?」
そう言って、紗英は私の机の上にあった鉛筆を持って来た。
「ちょ…!それは…!」
「なに〜?針より太いからすっごい効くんじゃない?…さすがに背中はまずいかな…。じゃあ…ここッッ!」
グサ―
「あ゛あ゛ぁぁぁ!!」
「あ、深すぎた?ごめ〜ん!」
鉛筆の先が5センチ程私の右肩にめりこんでいた。
「風邪治った〜?」
いつの間にか私の体は解放されていた。
しかし喋る力は残っていなかった。
「もう仮病なんか使っちゃだめだよ〜!」
「もし学校辞めたら…わかってるよね…?」
「……はい。」
甘かった。
あいつらからは、
――逃げられない。