絶望の淵で



「ハハッ!お似合いね!」


岬は嫌な笑みで私を見下ろしている。
そして、大きな石が私の上に移動してきた。
高さは5m程だろうか。


「じゃあ始めよっか!」


言い終わると同時に石が頭に向かって落下してきた。



――あぁ、これで楽になれる…



しかし、私の考えは甘かった。





――グシャッ


「ああア゛あ゛ぁぁァァぁッッ!!」

潰れたのは頭ではなく、右腕だった。


「ひと思いに殺すわけないじゃない!私と同じ…いや、私以上の苦しみを与えるまで死なせないから!」


石が私の右腕から離れ高々と上がり、今度は左腕におちてきた。


「ああア゛あ゛ぁぁァァぁッッ!!」


「ハハッいい声で鳴くじゃない!」



――グシャッ
――グシャッ




右足、左足と立て続けに落とされる。


「ガ…ぁァァ…」


口からは微かな呻き声しか漏れない。

ふと、横を見る。
昔腕があった場所には赤い塊が転がっていた。


「どう?私が受けた苦しみがわかった?」


私は力無く頷いた。


「そう、じゃあ…死んで?」






――私の意識はそこで途切れた。
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