絶望の淵で
私は部屋から逃げようとした。
「ッッ!」
……しかし、何かに押さえ付けられているかのように扉はびくともしなかった。
「なんで逃げようとするの?今日一日私に会ってないから寂しと思って遊びにきたのに。」
穏やかな表情とは裏腹に、その声は冷たく暗い感情がこもっていた。
「あんた死んだんでしょ!?さっさとあの世にでも行きなさいよ!」
恐怖を打ち消そうと精一杯叫ぶが、その声は震えていた。
「そういう訳にもいかないの。あんた達が私にしたこと、忘れたわけじゃないよね?まぁ復讐ってやつだよ。」
私はなにも言えなかった。私達は復讐されても文句を言えないようなことをしていたのだ。
それに結果的に岬の命を奪ったのは……私だ。