囚われの華
「遥ちゃん…?」

すぐそばに立つ蓮からは清潔な香りが遥の鼻をくすぐる。

遥はますます落ち着きを失っていくようだった。

見つめられたまま何も言おうとはしない遥に蓮は顔をしかめる。

何かやらかしたのだろうか…?

思い出す限り何もしてないとは思うのだが……

「遥ちゃん、綺麗になったね。ビックリしたよ。

3年会わない間にこんなに大人っぽくなるなんて。」

そういって微笑む蓮に遥は嬉しさで胸がつまるようで。

「良かったね!!遥、すっごく会いたがってたもんね。」

周りにいる友人たちが口々に冷やかす中、遥は夢の中にいるかのようにふわふわとした気持ちで周りの言ってる言葉は聞こえていなかった。

「それにしても遅かったな。心配したぞ?」

と蓮に声をかけるのは遥の従兄弟で蓮の腐れ縁かつ親しい友人の玲央で。

「あぁ、本当はもっと早く来るつもりだったんだが…」

実家を出るときにごたごたがあり、遅くなったのだ。

ニヤッと笑って玲央は

「まっ!!終わりよければすべて良しかな。

俺としてはうちの姫様が嬉しければ問題はないしな。

久しぶりに会ったうちのお姫様との再会の感想は?」

と聞いてくる玲央に

「聞くな…」

とだけ。

本当に驚いたのだ。ほんの数年会わないだけでこんなに変わるものなのかと。

玲央と蓮の話してる場所は遥たちのいる場所から少し離れていてお互いの会話は聞こえていない。

蓮の見つめる先には遥が友人たちと談笑しながら紅茶を飲んでる姿が映るだけ。

視線を感じて蓮の方を向いた遥に微笑む蓮を見て顔を真っ赤にする遥を友人たちはからかっているようだ。

「はいはい。ごちそうさま。

蓮がそんな表情をするなんてな。明日は槍でも降るんじゃないか?」

そうからかいながらも玲央は一度は聞いておきたかったことを聞くことにした。
< 11 / 41 >

この作品をシェア

pagetop