囚われの華
「なぁ、一度聞いておこうと思うんだが?」

真剣な表情でそういう玲央に蓮は怪訝そうに

「なんだ?」

と聞く。

「お前、うちのお姫様のこと、どう思ってるんだ?

あの子の気持ちは分かってるんだろう?」

そう言った玲央に蓮は苦悶を浮かべる。

「あぁ。知ってる。彼女は知られまいとしているようだが…

見ていたら分かる。

彼女のことは可愛いと思う。俺には妹がいないからいたらこんな風な兄弟になるのかなと思う。

俺にとってあの子は可愛い妹のような気持ちしかない。

愛しいとは思うがそれは恋愛感情じゃない…。」

そう言葉を選びながら言う蓮に玲央は

「そうか…すまない。一度聞いておかなくてはと思ってな。

お前も知ってるだろうが今夜のパーティーはお姫様の誕生日パーティーと表面上はなっているがその実は結婚相手を探す場になる。

俺はあの子が可愛くて仕方ない。歳が離れた従姉妹と言うのもあるが、あの子は俺を兄のように慕ってくれているし、懐いてくれている。

可愛い妹のような子だからこそ、幸せになてほしいと思う。

だが、西園寺の名がそれを阻むかもしれない。」

それに蓮は同意したように頷く。

己の実家も似たようなものだからだ。

「お前も知っての通り、西園寺は古くから続く華族の流れをくむ名家だ。

例外なく直系男子のみに家督が譲られていた。

今まではそれでよかったのだが、現当主には子供は一人、遥しかいない。

西園寺の当主の頭痛の種になっている。

男児のみだから遥は継ぐことが出来ない。

だが、そうすると家を継ぐ者がいなくなる。

取る方法は2つしかない。

1つ目は現当主の兄弟が直系として継ぐ方法。

現当主には兄弟があと3人いる。

そのうち末子の叔母、聡子は論外だ。

可能性があるのは俺の父親である匡と、叔父の望。

どちらも子供には男児がいるから家督相続の心配はない。

だが、この方法を選ぶと他の傍系から批判が出ることは必定だ。」

話を進める玲央に蓮は頷く。

「もう1つは?」

蓮は聞かずとも自ずと先は見えるのだが、聞いてみることにした。



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