囚われの華
「私が送りますから心配しないでください。」
そういって遥を連れていく蓮を心配そうに見つめる両親。

何かあったのかと思わないではないが、今はそれを聞く時ではなく。

笑顔を張り付けて何事もなかったかのように歓談していた。

一方の遥たちと言えば…

「離して!!離してください!!」

ホールを出るまでは蓮にされるままになっていた遥が出た途端暴れ始める。

蓮に障られるのも嫌だった。

あんなふうに思われていたなんてショックで。

本当に辛かった。

今は顔も見れないくらいに動揺していた。

「暴れないで!!送るだけだから。」
そう言いながらも手を離さない蓮に遥はとにかく暴れて逃げようとする。

二人の様子に中にいた人が様子を見に出てくるので蓮は

「とにかくこっちに来て。」
そういって引っ張っていく。

「おい、蓮、何かあったのか?」
先ほどの様子がおかしいと思ったのだろう。
遥の従兄弟、玲央までやってくる。

「嫌…別に何もない。

遥ちゃんと話があるだけだ。」

そういう蓮に遥はいやいやと首を振る。

「私に話なんてないわ。気分が悪いから家に帰りたいだけよ。」

そういう遥に何事かあったのかと推察する玲央。

「遥ちゃん、確かに君は具合が悪いみたいだね。

顔が真っ青だ。でも、一人で帰るのは感心しないな。

俺も送ってあげられないし。

蓮が送るって言うなら送ってもらうといい。

話をしたくないなら後日すればいいだろう?」

そういって遥に蓮に送ってもらうように進勧める。

そういわれると遥には太刀打ちできない。

嫌でも送ってもらわざるを得なかった。
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