囚われの華
それからの日々、なんとか遥と会おう、話そうとしても遥がつかまることはなかった。

「遥さんは御在宅ですか?」
電話をしてみても

「申し訳ありません。ご友人の方々と外出中で…
いつ戻られるかわからないのです。」
そういわれ、
「なら、伝言をお願いします。」
と伝言をしても遥からの電話はない。

メールで連絡を入れてみても返信もなく。
刻一刻と留学先へ戻る日が近づき、焦りは募るのにつかまらない。

出発の日もあの日までは
「必ず送りに行きますね。」
と言っていたのに姿を見せることはなく…

何度も後ろを振り向いて姿を探せども見つからない。

なんでこんなに遥と話せない、姿が見えない、そのことで不安になるのか、焦るのか分からない。

だが、どうしても会いたい。話したい。
ギリギリまで待って…会えずにタイムリミットになった時、玲央に渡した手紙。

本当は玲央に手渡しで頼むのではなく、自分の口から言いたかった。
だが…彼女が決めたなら仕方ない。
これを読んでメールをくれることを願うしかない。

飛行機の中で考えるのはあの日の遥の姿。
凛として目を逸らさなかった姿。
でも、瞳の奥は悲しみに揺れていた。
それを与えてしまったのは他ならぬ彼だった。

アメリカに着いて、早々、衝撃的なニュースが入ることを蓮は知らない。
そして、それが原因で二人の中に亀裂が入ってしまうことを。

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